2004年2月18日(水)23:19

独仏英首脳は特務欧州委員の新設を提案

ベルリン(AP)

ドイツ、フランス、イギリスの三ヶ国はEU経済政策の権限を「特務欧州委員」Superkommissarに統轄させる意向である。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相、フランスのジャック・シラク大統領、イギリスのトニー・ブレア首相は水曜日ベルリンで会談し、経済成長に向けた提案を発表した。これには欧州委員会の組織改革も含まれている。どの国がこの特務委員職を占めるかは決まっていない。「候補者名や国名は話題に上らなかった」とドイツ政府筋は伝えた。

三ヶ国の首脳は、首脳会談に対する批判をきっぱりと退けた。「私たちは誰も支配する意図はなく、ましてやヨーロッパの支配などは毛頭考えていない」とシュレーダー首相は述べた。シラク大統領は、批判が理解できないと述べ、「我々三人の会談は、何も革命的に新しいわけではない」と主張した。イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相は三ヶ国に対して、EUの「指導部」を形成しようと目論んでいると非難していた。

シュレーダー首相、シラク大統領、ブレア首相はこの会談で戦略文書を発表した。これは欧州委員会および全加盟国に送られ、3月の次期EU首脳会議での議論の叩き台になる。その目標は、EUを2010年までに世界をリードする経済地域にするとした、いわゆるリスボン・プロセス*) の促進である。「欧州は経済の成長と雇用創出のために明確な優先順位を設けねばならない」とシュレーダー首相は述べた。

三ヶ国首脳はこの戦略文書の中で、成長の可能性を孕む先端テクノロジー部門へ経済をシフトさせること、持続性のある社会保障制度改革および労働市場改革、ならびに企業に対する官僚規制の撤廃などを主張している。

これに加えて、欧州委員会内に広範な経済政策権限を持つ副委員長ポストを創設するよう求めている。その職務は経済政策に関わる諸部門の委員の仕事を調整することとされている。成長プロセスに関わるEUプロジェクトのすべてにおいて、この新たな特務欧州委員は発言権を持つ。新聞報道によれば、ドイツは自国から委員を送りたい意向であるという。

また三ヶ国の首脳は、中東紛争の解決に向けてEUが一層の働きかけを行うよう求めた。シュレーダー首相、シラク大統領、ブレア首相は、この問題で「行動的に打開の糸口」を探る必要があるとの見解で一致したとドイツ政府筋は伝えている。中東問題でのヨシュカ・フィッシャー外相の提案は、基本的にシラク大統領とブレア首相の支持を得た。その提案はまた「EUの打開策の基本線」でなくてはならないと主張されたという。

三首脳会談では外交問題の一つとしてイラク情勢も議論された。政府筋の伝えるところによれば、イラクの安定化が「西欧全体に課せられた課題」であるとの認識で一致したという。シュレーダー首相、シラク大統領、ブレア首相はまた、3月14日の大統領選挙後に再びロシアとの対話を深めることで合意した。

原題:Schroeder, Chirac und Blair fuer EU-Superkommissar

*) 訳注:2000年3月のリスボンEU首脳会議での決定




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